このブログでは、
イギリスの方からお話をいただいて
TT100という送信管アンプ設計をしましたので
記事にしております。
最後にちょっとだけ録音した
動画を付けてあります。
それはそれとして
どのようにしてこの球から
音楽を取り出したのか・・・
目次
なぜこの球を使ってみたのか
ぼくはFacebookで色々な国の方と
オーディオの交流をして楽しんでいます。
英国にお住まいのD氏から
聞いたこともないTT100という球で
アンプを作ってほしいと連絡を受けました。
早速下のページにあるデータを
参考にして妄想をしました。
どれほどのパワーが取れるのか?
ドライバーは?音は良いのか?
GEC製で送信管であることから
民生用よりも耐久性も高く
品質(製造のことではなく、性能のこと)も
高いと思いトライすることにしました。
TT100という真空管
前置きにデータシートのリンクを貼ってありますが
プレートに3500Vまで加えることのできる送信管です。
データシートにプレート電流は850mAうんぬんと書いてありますが
C級動作での話でオーディオへの流用は簡単ではないです。
ソケットは12ピンで、2つのユニットが中に入って
いるタイプです。
傍熱のビーム管で、コントロールグリッド以外は
中で並列になっています。
コントロールグリッドが別れていることに
気がつかなくて、プレートカーブを取るときに
苦労しました。
試作回路
色々テストをした結果で、
最終的に5Wのパワーが取れたのが
次の回路です。
ただし、5W出力時の入力電圧が3V程度であり
ゲインの低いアンプです。
抵抗値等の定数は、
お話をいただいたもののため
非公開とさせていただいています。
回路の解説
前段・・・最初に考えたのがSRPP+トランスによる回路でした。
パワー管によるグリッド電流の問題と、
強力なドライブ力が必要と考えたからです。
SRPPであれば、低いインピーダンスが実現でき
なおかつ高い出力電圧を取り出すことができます。
しかし簡単にはいかず、
回路図のように最終的になりました。
ドライバー段・・・6V6GTカソードフォロワー
トランスを使用した回路で十分ドライブできると
考えていましたが、実際にパワー管をつなぐと
最大ドライブ電圧が60%くらいまで減ります。
先輩方のお話からグリッド電流と
わかりました。話には聞いていましたが
ここまでドライブ電圧が減少するとは
思いもしませんでした。
そのため、インターステージをやめて
6V6を使ったドライバー回路に変更しました。
このドライバーにしたことで
50%程度ドライバーの出力電圧が上がりました。
出力段と直結にするともっと上がると思います。
今回のバラックでは、
マイナスで大きな電流が取れないので
テストができませんでした。
また、インターステージを併用しても
いいと思います。
出力段・・・固定バイアスの3極管接続
当初プレート電流は100mA近く流れると想定していました。
実際には、その半分程度でした。動作点を探すことから
固定バイアスでバラックを組み立てました。
TT100から出てきた音
このテスト回路から出てきたのは
情報量が多く、情熱溢れる音が出てきました。
第九では、楽器の皮の感じはもちろん
ホールの空気の小さな揺れが出てくる感じです。
英国製真空管特有のぬるっとしたような
(アメリカの真空管はサラッとしたような感じ)
音色でいいもの感があります。
まとめ
ブログでは簡単に書きました。
結果が出るまでに一ヶ月くらいかかりました。
もっと追い込みたいのですが
他にも依頼をいただいているので
これをいじるのは終わりにしました。
いろんな意味で
ステップアップができた試作だったと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。