つぎの製作は真空管式プリアンプです。Western Electricの電圧増幅感を使用したプリアンプのご依頼をいただきましたので下調べをしてみました。この記事は作る前に変えていますので、実際に作った際に設計変更をすることが多々あります。あくまでも本人の備忘録的な記事です。
目次
電圧増幅間の役割は?
電圧増幅管とは、電気信号を増幅させるための電子部品であり、アンプ回路の中で最も重要な役割を担っています。
電圧増幅管は、一定の入力電圧を増幅することで、より大きな出力電圧を出力することができます。この際、増幅される電圧の大きさは、電子管の特性や回路の設計によって決定されます。
また、電圧増幅管は、信号処理の過程で生じるノイズや歪みを最小限に抑えることが求められます。このため、高品質な電圧増幅管は、入力信号を正確に伝達すると同時に、信号の歪みを最小限に抑えるように設計されています。
近年では、半導体素子の普及により、電圧増幅管に代わってトランジスタが使用されることが多くなりました。しかし、真空管を使用するアンプ回路には、独特の音質や温かみがあるため、多くのオーディオファンから愛されています。
12AX7 汎用電圧増幅管
WesternElectric420Aについて調べる前に12AX7をおさらいして電圧増幅管とはを書き出してみました。
12AX7は、一般的に使用される真空管の一種であり、プリアンプやトーンコントロールなど、オーディオ機器の各部に広く使用されています。以下に12AX7の特徴を示します。
- ハイゲイン:12AX7は、高い増幅率を持つため、小さな入力信号を大きく増幅することができます。これは、弱い音源からの音声信号を増幅して、強い信号としてアンプの次の段階に送るために使用されます。
- 低ノイズ:12AX7は、内部の構造により、比較的低いノイズレベルで動作することができます。これは、音声信号を正確に増幅し、クリアな音質を再現するために必要です。
- 一般的なピンアサイン:12AX7は、標準的なピンアサインを持つため、多くのオーディオ機器で互換性があります。これは、修理や改造が必要な場合に、容易に部品を入手できるという利点があります。
- 寿命が長い:真空管は、半導体素子に比べて寿命が長く、交換の必要性が少ないことが特徴です。12AX7は、他の真空管と同様に、適切な使い方がされれば数千時間の使用が可能です。
以上が、12AX7の主な特徴です。この真空管は、オーディオ機器における音質向上や、特有の温かみや歪みを楽しむために、広く使用されています。
WesternElectric420Aについて
真空管の一般的な説明を前の項目に書きました。WE420Aは12AX7と比べてみたいと思います。簡単な表に特性をまとめてみました。
12AX7 | WE420A | |
プレート電圧 | 100V | 110V |
バイアス | -1V | -0.95V |
プレート電流 | 0.5mA | 0.15mA |
増幅率A | 100 | 70 |
プレート内部抵抗 | 80k | 140k |
自己バイアス抵抗 | - | - |
ヒーター電圧・電流 | - | 6.3V/0.36A |
特性を眺めていると簡単に置き換えはできなさそうです。12AX7より内部抵抗が倍で、電流が1/3程度のようです。ですのでパラレルで使用することでほぼ同じ回路定数で置き換えられるような気がします。カソード接地の回路であればプレート負荷抵抗は少し大きめにするのか、B電圧を低めにするなどして調整が必要なようです。
過去に頼まれて使用したことがありますが、バイアス電圧が1V未満のとても使いにくい真空管でありアンプにすることは断念しました。
今回はイコライザーの初段への使用を考えているのでバイアスが低いことは問題にならないと考えています。
Western 420Aのデータシート(同等管5755)
https://tubedata.jp/sheets/138/5/5755.pdf
Western Electric 396A(2C51)について
つづいて396Aについて調べてみました。便宜上同じように12AX7と比較します。
12AX7 | WE396A | |
プレート電圧 | 100V | 130V |
バイアス | -1V | -6V |
プレート電流 | 0.5mA | 7.6mA |
増幅率A | 100 | 35 |
プレート内部抵抗 | 80k | 6.5k |
自己バイアス抵抗 | - | 200 |
ヒーター電圧・電流 | - | 6.3V/0.3A |
WE396Aは中μの増幅管に相当します。電流は12AT7などよりも多めに流せてプレート内部抵抗は低めのようです。これ1本のラインアンプがありますがゲインオーバーで減衰回路が必要という素で音楽を味わうというよりは化粧をした音を味わう的なアンプになるように思います。
トランスなどと組み合わせたりNFBをいれることで増幅度の調整はできそうです。
WE396Aのデータシート
https://tubedata.jp/sheets/185/2/2C51.pdf
次のお題は
使用する真空管について特性を調べました。次はこの諸特性をもとにして回路設計をはじめてみます。今回はレコードとその他を各1chずつ入力できるプリアンプと仕様をいただきましたのでこれを踏まえながら設計をしたいと思います。
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