手持ちの真空管は実際にどのような動作をするのか。長く使っているけど特性が維持できているのか。etracerがあれば真空管のカーブを実際にトレースできます。
このページは台湾からやってきたetracerを使用したレビューです。
真空管の健康診断
測定器の役目は被測定物の健康診断。使用中またはこれから使用する真空管もチェックが必要です。現実的にはピンポイントの静的特性を測ることになると思います。いくつもポイントで特性をとる装置の作成には、専門的なノウハウやコストがたくさん必要になります。
ここをご覧になっている方はアンプ製作や真空管アンプを使うことに興味があって測定器をつくることにあまり時間や費用を使おうとは思われないでしょう。
主な機能
測定対象はどんな真空管でも測定することができます。etracerについているソケットは決まっていますが、ついていないソケットでも変換アダプターやパネルの空いているところに穴を空けて好きなソケットを追加することができます。使いたいソケットを別のアルミ箱に着けケーブルをつないでもいいと思います。
ヒーター容量はetracer内蔵電源で不足する時には、外部電源を使うことができます。仕様ではヒーターは3Aまでですが外部電源を使えば5Aの真空管やそれよりも大きな真空管も測ることができます。
etracerは、いろいろな診断ツールがあります。優れているところは、実動作とほとんど同じ条件で測定やカーブトレースができることです。測定に使う電源範囲を次に示しますがほとんどのオーディオ管の動作範囲をカバーしていることがわかります。
高電圧 : ~750V(~300mA)2回路
マイナス : 0~-180V 1回路
ヒーター : DC1.5~27V/3A
高電圧はプレートとスクリーングリッドへの供給に使用します。マイナスがバイアスに使用します。
必要なもの
etracerを使うのに必要なものは、本体以外にはパソコンが必要になります。パソコンとetracerはUSBケーブルで接続します。
測定に必要な設定値はすべてパソコンで入力し、測定はすべて本体で行います。測定した結果はパソコンに送れらパソコン上で確認します。データはパソコンで保存したりPDFにして印刷することもできます。
ピン接続
真空管を測定するには、各電圧をソケットの決まったピンへ接続する必要があります。ここで問題になるのがどのような方法にするのかということです。ローターリースイッチを使うことが考えられますが、最大750Vまで使えるものは少なく高価で故障した際のメンテナンス性もよくないです。
そのためetracerではバナナプラグを使用し、各真空管のピン接続に合わせて結線を切り替える方式になります。写真でしかみたことがありませんが、大昔の電話交換局と同じです。
クイックスキャン
クイックスキャンは、プレート電圧とグリッド電圧を指定し電流値, プレート内部抵抗, gm, μを測ることができます。測定の際には、プレート電圧とグリッド電圧を指定した範囲でずらします。ピンポイントで測定するよりもより精度の高い値を取ることができます。
カーブトレース
真空管仕様書に記載されているEp-Ip曲線を取ることができるモードです。プレート電圧やグリッド電圧をそれぞれ何Vから何Vまで何V間隔で使用するのかを決めます。
例えば、プレート電圧は0Vから400Vまでで20V間隔でグリッド電圧は0Vから-30Vまでで5V間隔と設定します。
測定にはプレート損失も入力し測定を何mAまで行うかを指定します。測定には数mSecのパルスを使用して行いますが、カーブを取得するためプレート損失の倍の値までプロットをするようにプログラムされています。
紹介動画
メーカーWEBサイト
essues tech WEBページ
https://www.essues.com/etracer/