6L6GBをKT88の交換できますか?
6L6GB 3結シングルアンプの球を交換してみたいけど、
何に注意したらいいの?
条件を確認することで交換は可能です。
このブログでは交換する際に
調べておきたいポイントをまとめます。
目次
種類を変える前に調べること
次のことは調べてから変えます。
また変えたあとに調べることも別のブログで説明します。
- 出力管の動作(プレート損失、プレート電圧、プレート電流)
- アウトプットトランス(許容電流)
- 電源トランス(ヒーター巻き線、B電圧巻き線)
- 整流管
- チョークコイル
- 自己バイアス抵抗(自己バイアスの場合)
このブログでは、6L6GBをKT88に変更する例をまとめました。
出力管の動作(プレート損失、プレート電圧、プレート電流)
実際に真空管を交換する前に、動作を推測します。
今回のKT88の場合、3結で300V前後のプレート電圧での動作例は仕様書に書かれていないです。
近い動作例から推測をします。
AB1級プッシュプルの動作例があります。
- プレート電圧/プレート電流:400V/76mA
- バイアス電圧:-40V
- 自己バイアス抵抗:525Ω
と書かれています。この動作例が一番近い値になりますこれをベースに推測します。
- プレート電圧/プレート電流:300V/60mA
- バイアス電圧:-30V
- 自己バイアス抵抗:500Ω
自己バイアス抵抗は変える予定がないことから
- プレート電圧/プレート電流:290V~300V/60mA前後
- バイアス電圧:-35V
- 自己バイアス抵抗:600Ω
という推測をたてました。
推測をすることで、部品の許容値等の確認をします。
アウトプットトランス(許容電流)
アウトプットトランスには、許容電流が仕様としてあります。
ぼくのテストアンプのトランスは100mAまでつかえるので今回50mAから60mAまで増えてももんだいありません。
またぼくの考えですが10%くらいは仕様をこえても問題ないと思っています。測定器で特性をはかると違いはあると思います。
トランスで電流が増えるとなにが起きるかというと
シングルトランスなら、特性が下がることと、トランスの内部抵抗による発熱がおきることが考えられます。
電源トランス(ヒーター巻き線、B電圧巻き線)
6L6GBのヒータ規格は、6.3V/0.9A、KT88のヒーター規格は6.3V/1.6Aで電流量が70%近く増えますので、ヒーター容量の確認が必要です。
次に、B電源の要領です
6L6GBで50mA程度であり、60mAでトータルで100mAから120mAに増えることになります。
120mAの容量がトランスにあるのか確認します。
整流管またはダイオード
整流管とダイオードの電流容量を確認します。ぼくのテスト用のアンプでは1A容量のダイオードをつかっていますので整流する電流が120mAから140mAに変化しても問題ありません。
耐電圧については電源トランスに依存しますので、調べる必要はありません。
チョークコイル
チョークコイルには、許容電流があります。今回ぼくが交換を試す真空管アンプに使っているチョークコイルは15H150mAという定格です。
この場合、このチョークコイルに対して150mA以下の電流でつかうように定格が決められいます。
前の項で確認をしましたが、6L6GBのアンプでは1本あたり50mAでトータル100mAの電流がチョークコイルを流れました。
KT88では、予測では60mAでありステレオのトータルで120mAで定格より小さいので問題なくつかえることがわかりました。
正確には、電圧増幅段もあるためもう少し増えますが、パワー管の消費電流と比較するととても小さいので誤差の範囲として取り扱って問題ありません。
自己バイアス抵抗(自己バイアスの場合)
ここが重要なポイントになります。もともと20Wや25Wくらすの抵抗を使っている場合は心配はありません。
6L6GBの時の自己バイアス抵抗の損失は、
50mA x 30V = 1.5W
KT88に変えた時の推定の損失は、
60mA x 35V = 約2.1W
ぼくのテストアンプは、5Wの抵抗を使っているので球を交換しても抵抗が許容値を越えてしまうことはありません。
まとめ
ぼくが、球を交換する際に計算と確認の作業になります。また、ロードラインを重視される方もあります。
ぼくは、聞いて満足するボリュームと音質ならばOKとしています。というのも、アンプを作るときにオーソドックスな回路をつかってアンプをつくっているからです。
既に、実績のある回路をつかうことで保障されてます。
測定は、新しい回路を研究したり、うまくいかないときに原因をみつけるのに役立つツールのひとつです。