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Kubota Audio Lab 真空管アンプ

オーディオ専科300Bプッシュプルの改造依頼

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キットの300Bアンプを改造することはありますか?

オーディオ専科が設計したアンプ(20年近く前の製品)、オーナー様が気になる点があるとしてメンテナンスのお預かりをしました。

アンプの問題点

オーナー様のお話では、高い音が耳につくような感じがするということです。高槻電子製の日本で作られている300Bを使用しているのに音が今一つで対策ができないかというご相談です。

筆者も一緒にきかせていただき、耳に着く感じと音の硬さがあります。スピーカーの間に音がフォーカスするタイプの様です。この感想が後で書きますが、もともとのアンプの特徴なのか手を入れたためのものかは判断ができません。

アンプについて紹介しつつ変更点を考えてみたいと思います。

オーディオ専科300Bプッシュプル

300Bプッシュプルの位相反転はオーソドックスなムラード型で初段と位相反転段は直結となっています。300Bの動作はAB級動作を選んでいるようです。

電源とアウトプットトランスはタムラ製作所をつかった高級モデルの様です。

シャーシはオーディオ専科が設計製造したものと思われきれいでしっかりとしたものです。300Bのソケットについてはアダプターをつかいシャーシからわずかに沈み込んだ設計です。

アダプターに真空管やシャーシ内のねつを逃がす効果があるようです。アダプターで沈めこんでいるため真空管を抜く際にはかまをしっかりと持つことができません。

設計

筆者が詳しいことをいえるほどの立場ではありませんが、アース系の配線が作りやすさを優先されていました。どのような金額かわかりませんが音を意識した取り回しを考えてよさそうです。

初段とドライバー段の動作を見てみますと、プレート電圧は200V以下に落としてあり定格の範囲内でうまく動作するようにしていると思います。

初段とドライバー段は直結にしてありますが、ヒーターバイアスが見つかりません。ドライバー段のカソードは重ね上げされていますのでバイアスをかけたほうがノイズへの耐性は上がる可能性があります。

300BはAB級動作と思います。筆者がアンプを作成する際には、グリッドに直列に抵抗をいれますがこのアンプには入っていないです。メンテナンスの依頼ですので追加をしたいと思います。

電源回路は2000年ごろのアンプと思いますが、その当時にできる範囲でしっかりと部品選定をされています。現在では、容量を大きくしても大きさや価格が変わりませんのでもう少し大きなものを選択するのが良いと思います。

プッシュプルのアンプですのでチョークコイルはなくてもノイズの問題はでません。ここではいれてありますがDCRを少し高くすることで低域特性の改善が考えられるため抵抗を追加しました。

試聴した感想

アンプのノイズレベルが高いです。本来プッシュプルのアンプですからノイズはわからないレベルまで下げることができます。わかる程度に残っています。部品配置や配線手法が影響していそうです。

シャーシのなかは部品変更をした形跡がありますのでオーディオ専科のオリジナルではないようです。例えばWestern Electricの抵抗が使われていたりヨーロッパ製のコンデンサーが使われていたりします。

個人的には、部品をあちこちのものを使用せずにある程度固めて使ったほうが音の方向性がでるかとおもいます。あちこちにすると印象が弱い音になり今一つな感じになりがちです。

音は、300Bのこれまで持っていた印象と違いサウンドステージはスピーカーの間に小さく現れますがレンジは下から上まで筆者のメトロゴンでは過不足を感じませんでした。

レストアのポイント

レストアは次の3つを意識して行ってみました。

  • ノイズレベルを下げる
  • 耳につく高域を調整
  • 奥行き感や広がり感をだす

ノイズレベルを下げること

入力端子の接触がふらふらしていましたので、すでについていたものを外して新しいものへ変更しました。これでノイズの8割くらいは取れたような感じがします。残りの静かなへやで聞こえるレベルの雑音を落とすのが大変です。

対策したのは、マルチアースをしていたので、アースを1点に変更しました。マルチアースがうまくゆくことももちろんありますが今回は1点に変更しました。

アースの接続をこだわってやり直ししました。低い電圧、低い信号レベルのアースから順番に高い電圧高い信号を取り扱う部品のアースへと配線を渡ってゆきます。

最後に、ボリュームから入力端子へ経てシャーシポイントへ接続しました。大きな変化はみられませんがセオリーに従った形です。

耳につく高域を調整

部品の種類を変えてもとれるような音質ではないと判断してNFB量を変更しました。帰還抵抗をより大きいものに変更し、帯域補正のコンデンサーも見直しをしました。

想像通りに、尖ったような広域は角がちょうどよくなり特別耳に着くような感じはなくなりました。当方のJBLはアンプの音に敏感ですから調整がしやすいです。

奥行き感や広がり感を出す

実はNFBとも関係がありますが、NFBを利用した回路がうまくいっていないと左右のスピーカーの間にちいさくまたへばりついたようなサウンドになることがあります。調整をシビアに行う事で解消もできますが、今回のようにそこまえに詰められていない場合もあります。

NFBの減らし調整します。もともとの回路設計がNFBありきとなっていますので電気増幅度が高くNFBを無くすと利便性が大変悪くなります。このようなばあいは減らすことで調整をします。

まとめ

今回は高槻の球を聞くことができたのは収穫でした。また業者が作った(たぶん)高級アンプを家でじっくりと聞くことができ音についてのレベルを確認することができました。

セオリーを守って作ることで、右へならえ的な製品はマーケティング的には難しいのですがお客様にはよろこんでいただける音質のアンプが出来上がるという事もわかりました。

しっかりとつくられた真空管アンプにご興味がございましたら是非新品のアンプをご注文ください。予算に合わせ妥協なく組み立てをさせていただきます。

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