このブログでは、
イギリスの方からお話をいただいて
TT100という送信管アンプ設計をしましたので
記事にしております。
最後にちょっとだけ録音した
動画を付けてあります。
それはそれとして
どのようにしてこの球から
音楽を取り出したのか・・・
目次
なぜこの球を使ってみたのか
ぼくはFacebookで色々な国の方と
オーディオの交流をして楽しんでいます。
英国にお住まいのD氏から
聞いたこともないTT100という球で
アンプを作ってほしいと連絡を受けました。
早速下のページにあるデータを
参考にして妄想をしました。
どれほどのパワーが取れるのか?
ドライバーは?音は良いのか?
GEC製で送信管であることから
民生用よりも耐久性も高く
品質(製造のことではなく、性能のこと)も
高いと思いトライすることにしました。
TT100という真空管
![](https://chichiblog.fun/wp-content/uploads/2020/12/IMG20201205143851-768x1024.jpg)
前置きにデータシートのリンクを貼ってありますが
プレートに3500Vまで加えることのできる送信管です。
データシートにプレート電流は850mAうんぬんと書いてありますが
C級動作での話でオーディオへの流用は簡単ではないです。
ソケットは12ピンで、2つのユニットが中に入って
いるタイプです。
傍熱のビーム管で、コントロールグリッド以外は
中で並列になっています。
コントロールグリッドが別れていることに
気がつかなくて、プレートカーブを取るときに
苦労しました。
試作回路
色々テストをした結果で、
最終的に5Wのパワーが取れたのが
次の回路です。
ただし、5W出力時の入力電圧が3V程度であり
ゲインの低いアンプです。
抵抗値等の定数は、
お話をいただいたもののため
非公開とさせていただいています。
![](https://chichiblog.fun/wp-content/uploads/2020/12/2e6ab873d45ad178660d5c515ff7b867-1024x694.png)
回路の解説
前段・・・最初に考えたのがSRPP+トランスによる回路でした。
パワー管によるグリッド電流の問題と、
強力なドライブ力が必要と考えたからです。
SRPPであれば、低いインピーダンスが実現でき
なおかつ高い出力電圧を取り出すことができます。
しかし簡単にはいかず、
回路図のように最終的になりました。
ドライバー段・・・6V6GTカソードフォロワー
トランスを使用した回路で十分ドライブできると
考えていましたが、実際にパワー管をつなぐと
最大ドライブ電圧が60%くらいまで減ります。
先輩方のお話からグリッド電流と
わかりました。話には聞いていましたが
ここまでドライブ電圧が減少するとは
思いもしませんでした。
そのため、インターステージをやめて
6V6を使ったドライバー回路に変更しました。
このドライバーにしたことで
50%程度ドライバーの出力電圧が上がりました。
出力段と直結にするともっと上がると思います。
今回のバラックでは、
マイナスで大きな電流が取れないので
テストができませんでした。
また、インターステージを併用しても
いいと思います。
出力段・・・固定バイアスの3極管接続
当初プレート電流は100mA近く流れると想定していました。
実際には、その半分程度でした。動作点を探すことから
固定バイアスでバラックを組み立てました。
TT100から出てきた音
このテスト回路から出てきたのは
情報量が多く、情熱溢れる音が出てきました。
第九では、楽器の皮の感じはもちろん
ホールの空気の小さな揺れが出てくる感じです。
英国製真空管特有のぬるっとしたような
(アメリカの真空管はサラッとしたような感じ)
音色でいいもの感があります。
まとめ
ブログでは簡単に書きました。
結果が出るまでに一ヶ月くらいかかりました。
もっと追い込みたいのですが
他にも依頼をいただいているので
これをいじるのは終わりにしました。
いろんな意味で
ステップアップができた試作だったと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。